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北条司・シティーハンターの愛した新宿

 
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 北条司の往年の名作、キャッツ・アイ、シティハンター(CITY HUNTER)は、ともに東京・新宿が舞台になっています。キャッツ・アイには明示されていませんが、細部を見ると明らかに西新宿の高層ビル群と同じビルが出てきます。

 シティーハンターに至っては、設定も完全に新宿となっていて、JR新宿駅東口の伝言板にXYZと書くのが依頼の方法であることは、有名です。作者である北条司は、なぜ、ここまで新宿に入れ込んでいたのでしょうか?

 80~90年代の新宿は、正に輝いていました。西口の立体的なロータリーは未来都市を思わせるに十分で、都心部にもまだ高層ビルが少なかった頃、200mを越す高層ビルの全てが西新宿に集結していました(*池袋のサンシャイン除く)。東洋一とも言われる歓楽街である東口の歌舞伎町は、冴羽獠が解決するいざこざの舞台としては最適。カジノがあっても殺し屋が居ても不思議でない、混沌さ、奥の深さ、ミステリアス、そして恐怖が詰め込まれたワンダーランドは、読者の心を魅了して止みません。

 しかし、それがどうでしょう。今や、西口のビル街は、
老朽化と、都心回帰によって、空室率が高くビル内ゴーストタウンが出現し、西新宿のオフィス賃料は渋谷のそれを下回っていると言います。歌舞伎町は、石原慎太郎の浄化作戦によって、安全なつまらない街に成り下がりました。

 コマ劇場もなくなり、カラオケとホストクラブばかりになった現在の歌舞伎町に、読者は決して、冴羽獠の姿を重ねてみることはできないでしょう。

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