したがって、不妊治療をしていても体の具合が悪いわけではないので、生活自体は普通にできます。不妊治療のゴールは妊娠・出産であり、治癒ではありません。そんなことから、特段、周囲の人に言わなくてもすんでしまうという特性を持っています。
友人や職場に話すことのメリット
それでも、周囲に話しておくことには、数多くの意義があります。まず、不妊治療は生理周期と切っても切り離せないので、スケジュールが立てにくいものです。突然、出勤前に病院に立ち寄ったり、1日休んだりしなくてはならないこともあります。ですから、急な休暇を取得することが増えてしまうため、あらかじめ上司など職場には不妊治療をしている旨を告げておいた方が理解が得られやすいです。同様に、友人づきあいの中でも、食事やお出かけの約束をするときに支障になったり、急にキャンセルしなくてはならないことも生じます。これも、不妊治療をしている旨を話しておいた方が余計な恨みを買わずにすみます。
それから、金銭的にも不妊治療は負担が大きいので、どうしても他の出費を抑え気味にしなくてはならなくなります。旅行や豪華な食事などに誘われても、行かれないかもしれません。これも、不妊治療をしていることを話しておけば、断りやすいですね。
友人に話しておく最大のメリット
もうひとつ重要なメリットがあります。それは、「不妊で悩んでいる」ということが相手に伝わることによる効果です。不妊に悩んでいれば、当然、他人の妊娠・出産話や、友人の子どもの話なども、聞くのが辛いという部分が出てきます。不妊治療をしていることを知ってもらえば、無神経に、子どもの話や、妊娠・出産にまつわる知人のうわさ話などをしないでもらえるようになります。
もっとも、これは個人のデリカシーによるところも大きいので、気にせず「娘自慢」のようなことをする人がいるかもしれません。そんな時は、「デリカシー無いわね、私の前でそんな話すると傷つくからやめて」と言えるようになります。
それでも内緒にしておく人の心理
一方で隠しておくメリットについてはほとんど思い浮かびませんが、「話したくない」「知られたくない」と考える人の心理については、想像に難くありません。悩んでいると知られることは弱みを見せることでもあり、プライドの高い人にとっては、一種耐え難いものであると言えます。ですから、不妊治療にも「カミングアウト」のような言葉を使われることがあります。本来、なんら恥ずかしいことではないのですが、不思議なものですね。
話したくない人がいる以上は、周囲の女性に対しては、 つねに「内緒で不妊治療しているかも知れない」と疑ってかかり、想定しておくべきです。特に、プライドの高い女性は黙って不妊治療をしている可能性が高いので、要注意です。既に子供がいても、2人目不妊・3人目不妊といって体外受精に勤しんでいる可能性もあります。
従って、20~50歳ぐらいの女性や、その旦那がいる場では、不妊治療を馬鹿にするような発言は控えた方が身のためと言えます。