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体外受精では、従来は体外で受精をさせた受精卵が数回分割をした後に移植(つまり、子宮に戻す)していました。しかし、徐々に、5日ぐらい培養して、「胚盤胞」と言われる状態まで育ててから戻した方が、妊娠率が良好なことが分かり、移植の費用を節約して患者の負担を軽減する目的から、積極的にこの方法が取られるようになりつつあります。
さてその際に、アシステッドハッチングと呼ばれる手法がとられることがあります。要するに、受精卵の外郭の一部を人工的に破ってあげて、受精卵が「孵化」しやすくし、それにより着床しやすくなると言った理屈です。従って、着床の確率もあがり、妊娠の確率も上がるという算段です。
この手法は感覚的には非常に
分かりやすく、効果がありそうに見えますが、これを行った場合にどれほど妊娠率が上がるのかといったデータを数字で示すことは難しく、「むしろ下がるのではないか」といった指摘もあります。
それはそのはずで、なかなか妊娠しない人が、つまり重度の不妊の人が、体外受精へすすみ、そしてアシステッドハッチングへすすむわけですから、ここまで来た人は、相当重い不妊であり、妊娠率が低いのは当たり前だからです。
こういうデータを取るためには、「体外受精とか、もしくは胚盤胞移植とか、そういうことをしなくてもすむ健康で正常な女性」を対象に、わざわざ体外受精を行ない、アシステッドハッチングを施すグループと施さないグループに分けて実験する必要があるのではないかということです。
また、ここまで受精卵に手を加えるアシステッドハッチングのような手法が、受精卵に影響を与え、奇形や障害の原因にならないかという問題もあります。これについても、検討が進んでいくことを期待したいですね。
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