近隣トラブルの定番のひとつが、騒音問題ですが、その中でもピアノの音によるトラブルは意外に多いものです。ピアノに限らず、楽器の騒音問題のポイントは、他の「出てしまう音」と違って、音を出すのをやめようと思えば、出さないことは簡単だということです。つまり、楽器を弾くのさえやめてくれれば解決するのです。

　しかも、楽器を奏でるのは「遊び」ですから、「お前の遊びのせいで、おれがうるさいのを我慢するのはまっぴらだ」と考えてしまうので、腹が立ってくるのも仕方がありません。

　では、どのように苦情を言ったらいいのでしょうか？　感情的になってしまうと、売り言葉に買い言葉で、何の解決にもなりません。

　逆の立場に立ってみれば、「うるさい」と言われたら誰だってムカッと腹が立つのは分かるでしょう。ここはひとつ、褒めるフリをしてやめさせるというテクニックはどうでしょうか。

　「ピアノの音、良く聞こえるんですけど、とても上手ですね。なんか、ついつい聞き入ってしまって、私は家事が、子どもは勉強が手に付かなくなってしまい、迷惑してるぐらいなんですよ。いやいや、それほど素晴らしい演奏だっていうことです、ハイ」。

　これじゃあ「何言ってるんだコイツ」と思われそうですが、大丈夫です。 こんな感じでも、いわれた方はグサリと刺さり、ジワジワと効いてきて、なるべく弾くなということなんだなと、分かるはずです。１週間もすれば、ほとんど聞こえてこなくなるかも知れません。