沿線住民を軽視するというのは、私鉄路線にはよくあることです。単に旅客収入を増やしたければ、当然です。やむなく通勤・通学で利用している客は、どうせ利用せざるを得ないのだし、定期券なので収入は一定。定期を売るだけ売った後は、むしろなるべく乗らないでもらって、沿線以外の客を呼び込みたいというのが本音なのです。

　京浜急行もこれが顕著で、羽田空港への利用客は大半が定期外利用の客ですから、通勤客に多少不便を与えようとも、羽田への利便性を向上させたいのでしょう。空港線は明らかに支線なのですから原則として京急蒲田で乗り換えさせるのがスジですが、品川や横浜方面からの直通電車が増え、タイミングによっては横浜方面から品川へ行く客が逆に乗り換えを強いられる事態になっています。

　羽田空港へのアクセスはＪＲも整備する方針のようですから、今後ますます、空港直通電車が優遇される恐れがあります。もっとも、横浜～品川もＪＲとの競争があります。犠牲になるのは、沿線住民つまり、各駅停車などしか止まらないような駅です。

　私たちは、京急を利用して羽田空港に行くときに、この快適なアクセス路線は沿線住民の犠牲の上に成り立っているのだと、深く感謝しなくてはいけません。