不妊というのはそれだけでも辛いものですが、不妊治療というのは希望はあれど更に辛く、その間、夫婦喧嘩が絶えないのも仕方がないと言えます。

　不妊治療にはいくつかパターンがあります。夫婦共に治療に積極的という一番好ましいパターンは案外少なく、妻が積極的で夫が消極的というパターンが目立ちます。また、夫が積極的で妻が消極的というパターンと、実家が積極的で妻は消極的というパターンもあり、これは最悪です。

　不妊治療の主役は、女性である妻です。最も身体的な負担がかかり、時間的な束縛も多いからです。自分が消極的なのに、何度も採血や採卵などで針を刺され、変な薬をのまされたり注射されるのは、耐え難いことでしょう。

　不妊治療の主役は、男性である夫でもあります。金銭的な負担が並大抵ではないからです。加えて、仕事を休んで病院に行かなくてはならないことが何度もあり、それも妻の排卵などスケジュールが読めないことが多く、仕事に大いに差し障ります。

　このような状況では平常な精神状態を保つことは凡人には困難です。そして、毎度の落胆も大いなる打撃です。そんな中、治療の方針を決めていくには、意見も対立し、ケンカにならない方が不思議です。

　不妊治療でケンカが絶えない夫婦への処方箋は１つです。 ケンカは不妊治療につきものですから、ケンカをやめようなどと思わないこと。そして憎むべき相手は、妻でも夫でもなく、不妊という名の魔物に他ならないのです。