一方で、昔ながらに「上にぎり」「松」などの握りセットや、カウンター越しにお好みで寿司を握る業態、また、そういった商店街の寿司屋が出前するという形態は、廃れつつあり、街の個人経営の寿司屋は、経営が成り立たなくなりつつあるようです。

寿司なんて、しゃりを握って魚をのせるだけですから、本来は料理とも言えないくらい簡単な料理です。しかし、そこに高慢な職人文化を持ち込み、「1人前にしゃりを握るには10年かかる」などといい、客には「時価」を理由に値段を明示せず、またカウンター越しに板前と客の上下関係が通常と逆転している(板前の方が威張っている)というような傲慢な経営をしてきたわけです。
ですが、もともとほとんど技術もいらない料理のため、アルバイトでも簡単に作れてしまいます。ネタも、「サク」の状態まで工場で加工されてから届けば、魚をおろす技術さえ必要ありません。それに、ネタの仕入れも大量買い付けによるコストダウンを考えると、個人経営の店が築地で少量を仕入れても、太刀打ちできるはずがありません。
これらは、旧来の寿司屋がみな、高級を装って暴利をむさぼり、高慢な経営をしていた ことを考えれば、自業自得でしょう。高級な寿司を求めているのは、消費者のほんの一握りで、それ以外は安くて美味しい寿司を、職人に威張られずに堂々と食べたいのです。