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そば屋で、ざるそば等を食べると、食べ終わった頃に蕎麦湯が出てくることが多いですね。これは、そばをゆでた茹で汁なわけですが、案外、飲み方を知らない人が多い。これは、そばつゆに注いで飲むというモノで、そばつゆだけでは味が濃すぎますから、少し薄め、なおかつ暖かくして飲むというものです。
ところで、この蕎麦湯は飲むのが正式だという風潮がありますが、そんなことはありません。家で生そばをゆでれば分かりますが、茹で汁には打ち粉が溶け込み、冷静に考えるとあんまり飲みたいシロモノではありません。そばの栄養が溶け込んでいて体に良いとする説もありますが、そんなにそばの栄養がありがたいのなら、そばをもう一枚食べるべきでしょう。
結局、これの発祥は、余ったそばつゆを飲みたいとする欲求に対して、お店が答えたことからはじまったものでしょう。あたたかいそばでは、蕎麦湯は出てきませんね。本当に体にいいから飲むのであれば、温かいそばにも蕎麦湯を出すべきだし、そもそもつゆを茹で汁で作れば良いことです。
つまり、単に残ったそばつゆを
飲みたいという、意外にも下品な発想から始まったものと考える方が自然で、飲みたい人は飲めばよろしいですが、飲まないと通じゃないとか、出されたから飲むべきとか、そんな類のものではなさそうです。
ですから、要求した客にだけ出せば良い性質のものですが、なんだか黙っていても蕎麦湯を持ってこないとちゃんとしたそば屋じゃないかのように見られてしまう昨今の風潮こそ問題でしょう。店は、「蕎麦湯をご希望の方は遠慮なくお申し付け下さい」と貼り紙だけして、堂々としていればよい話なのです。
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