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 東急電鉄は、関東では珍しく、都心側ターミナル駅をたくさん持つ私鉄です。渋谷の他に、目黒、五反田、大井町、蒲田がターミナルとなっています。この中で、渋谷駅周辺は東急が手塩にかけて育ててきた街だけあって、東急系の商業施設が集積しています。百貨店2店、109、渋谷ヒカリエに東急プラザ、東急インにセルリアンタワー東急ホテル。まさに東急電鉄の牙城とも言える布陣です。

 しかし、東横線と田園都市線の混雑緩和に頭を悩ませてきた東急電鉄は、基本的に渋谷を通らずに沿線住民を都心へ運ぶことを考えてきました。田園都市線は、一部を複々線化して大井町線に直通させ、大井町線の急行運転までを行い、二子玉川から渋谷でなく大井町を経由して都心に行くことを住民に奨励したのです。

 東横線に至っては、とても珍しいことをしています。小田急や京王の例を見るまでもなく、大抵の私鉄は都心側ターミナルは1駅で1路線になっているものが、郊外に行くにつれて支線に分岐します。しかし、東横線は、かつての目蒲線を活用して、横浜から都心に向かう電車を田園調布から分岐して、渋谷方面と目黒方面に振り分ける戦略を採ったのです。

 このいずれも、渋谷から客を遠ざけるという意味で、
自社の商業施設にとってマイナスになることは言うまでもありません。これを自虐的とみるか愚かとみるか、それとも沿線住民の利便性だけを考えた懐の深さと考えるかは、人によって受け止め方が異なるようです。

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