荷物を運ぶというのは普通に考えたら「大変なこと」もしくは「イヤなこと」です。できれば、荷物など運ばずにすませたいものです。しかし、荷物を運ぶことそのものを仕事にしていて、「イヤ」どころか、他人の荷物まで運んでいる人たちがいるわけです。

　なかでも「引越屋」はハードで、段ボール詰めされた荷物だけでなく、大きくて重たい家具を含め一日に大量に運び、時に窓からつり上げたりも必要で、また階段の上り下りなんていうのは一戸建ての引越ならザラ、古い団地など５階でもエレベーターがないところもあります。

　引越屋というと学生バイトのイメージがありますが、引越屋を一生の仕事にしている人もたくさんいます。大変な割に、引越屋は一般的にいえば薄給で、肉体労働の極みです。普通なら、こんな仕事につきたくないと思うのが人情でしょう。

　しかし、ひっこし専門の人たちは、楽しそうに荷物を運んでいます。 きっと、体を動かすことが好きなのでしょう。事務所や工場に閉じこもるのと違い、体を動かしてお金までもらえ、そして、労働の後だからご飯もおいしい。こんなに素晴らしい仕事は他にない、と考えているのかも知れませんね。正に天職です。