東京・渋谷地区は、かつては映画の街とも言われ、東京国際映画祭が毎年開催されるほどでした。しかし、現在では、映画館の数は激減しています。

　そんな中で、「シネコン（シネマコンプレックス）」かどうか微妙な存在としてあるのが、TOHOシネマズ渋谷です。ここは、かつての渋谷東宝、1990年代に建て替えて「渋東シネタワー」というシネコンの走りのようなものになりました。当時は４スクリーンでしたが、今はその数を増やし、小シネコンといった感じになっています。

　一方で、 パンテオン、渋谷東急１・２・３と４つの映画館があった東急文化会館は閉鎖・解体し、１個の映画館が渋谷クロスタワー（東邦生命ビル）に移りました。これが、東急文化会館建て替え後に戻ってくるのかと思いきや、渋谷ヒカリエには映画館は無し。この中にシネコンを作ればよいのにと、誰もが思うでしょう。

　松竹は、「新宿地区への集約」を名目に、渋谷ジョイシネマを閉めて、新宿に大型シネコン「新宿ピカデリー」を、東映も新宿東映を建て替えてシネコン「新宿バルト９」にしました。東宝も、コマ劇場の跡地にシネコンを計画しているとも伝えられています。これはどうみても飽和でしょう。

　そのうち一つでも、渋谷に作れば、けっこうな集客ができたのではないかという推測も成り立ちます。