人間を入れる専用のカバンとは、人間を荷物として梱包し、生きたまま輸送することを前提に設計された持ち運び可能なケースのようなものです。大変な重量物ですので、キャスターが付いているほか、バックパックのように背負うことも可能な作りになっています。

　もちろん、中に入る人の呼吸を確保するために、空気ホースが付いていることも特徴ですが、最大の特徴は、一般のカバンとことなり、中から開けることができる構造になっていることです。

　その他、乱暴に扱われたり、強いショックを与えられたときのために、クッション材を豊富に用い、万が一落下しても安全が確保される設計になっています。

　かなり窮屈にはなりますので、実際に収納して運ぶことができるのは、小柄な女性に限られると考えられます。実際、持ち上げて運ぶことを考えると、成人男性では少し無理があります。子どもは、無理な体勢と身動きできない苦しさ、暗闇などの恐怖、そして退屈に耐えかねるのでやはり難しいでしょう。しかし、普通のカバンに無理やり入れられることを考えたら、よほど快適で安全です。

　こんな夢のようなカバンが あったら、電車やバスに、一人の運賃で二人乗れてしまいますね。もちろん、そのような行為は違法ですが、現実問題としてはばれることはないでしょう。また、自分自身を宅配便で送ることで、送料だけで旅行が可能です（もちろん、運送約款に抵触するでしょう）。一方で、旅客機の荷物として預けた場合は、温度・気圧・衝撃のどれをとっても、かなり過酷な環境になりますので、生きて輸送されることは難しいでしょう。