タクシーの運転手は、一般に、近距離の客を嫌がります。殆どの運転手は、一本釣りで大物を釣り上げるのを狙うように、遠距離で万単位を払ってくれる客を望んでいるのです。特に、深夜は。

　これは、ギャンブルにとてもよく似ています。パチンコや競馬でも、かつて当てた大穴、万馬券の味が忘れられず、再び同じような幸運に当たるよう、夢を見続けるのです。しかし、現実には、一本釣りではなく、網で小型魚をすくうように、近距離の客をこまめに取っていた方が、儲かるはずなのです。

　さて、客の方からすると、近距離でのタクシー利用を恐縮してしまうのは当然です。なぜなら、運転手によっては露骨に不機嫌な態度を取ったりイヤそうにするからです。ですから、近距離でタクシーを利用する場合には、極力、行列を作って客待ちをしているタクシーではなく、走行中のタクシー、または客を降ろしたばかりのタクシーを拾うようにしましょう。

　タクシーは、駅前や繁華街の乗り場では、客を乗せるために30分以上も並んで待っていることがあります。 その末に、初乗りの客を乗せるとなると、とんでもなく非効率で、待ち時間も無駄になってしまいます。利用者としても、少しだけタクシー運転手の気持ちの配慮することで、気持ちよく利用できるようになるのです。