お笑いピン芸人として活動している若手の多くは、いつまでもネタをやるのではなく、いわゆる「テレビタレント」として、普通にバラエティ番組などに出演することを目指しています。しかし、「ネタ芸人」として一発当ててチャンスが訪れ、バラエティ番組などに何度かゲスト出演しても、うまく立ち回れずトークも下手で、そのままお声がかからなくなるパターンが非常に多いのが実状です。お笑いタレントなど腐るほどたくさんいますから、少ないチャンスをものにしない限り、なかなか、ネタ芸人の域を飛び出すことは難しいのです。

　こうして消えていったタレントは枚挙にいとまが無く、ヒロシや小梅太夫、桜塚やっくんやにしおかすみこなど、死して屍拾う者無しの状態なのです。

　そんななかで、「ワイルドだろぉ？」で一世を風靡したワイルドすぎちゃんは、アドリブトークも決して得意ではないのに、一発屋ネタ芸人の域を出て、普通にバラエティ番組に出演を続けています。

　ピン芸人はどうしても、ネタにキャラクター付けが必要で（変なしゃべり方とか）、 フリー特の際にそのキャラクターを捨てるか、踏襲するかが非常に難しいところです。スギちゃんは、この点も心配されましたが、難なくやっています。

　これらは全て、スギちゃんの人柄が醸し出す、雰囲気によるものでしょう。彼はトークでとちって、ギャグの「振り」に答えられないことがあっても、そんなものはものともしないほど、彼一人の存在で場の雰囲気を変えてなごませる、並外れた能力があるのです。