現在の都営浅草線日本橋駅は、数年前まで「江戸橋」という駅でした。ここもやはり中央通りと昭和通りの間の距離分だけ離れているので、同じ駅名にするには遠すぎたのです。

　しかも日本の中心である「日本橋」の橋（道路元標のあるところ）は銀座線の日本橋の方です。浅草線は「江戸橋」の下を通っているのです。やむを得なかったのです。しかしその後東西線が開通して二つの駅をまたぐように東西線日本橋駅ができました。これにより日本橋と江戸橋は駅名こそ違いますが乗り換え駅となったのです。そしてそのための混乱を避けるためも含めて江戸橋駅は悲願の「日本橋」の名称を名乗ることを数年前になってついに許されたのです。それでもやっぱり高島屋まで遠いという現実は変わりません。

　同じ立場にあったのが東銀座駅です。先に述べた通り、丸の内線の「西銀座駅」は同じような経緯で日比谷線の開通により「銀座」を名乗ることができました。しかもこの日比谷線、この辺りは日比谷、銀座、東銀座と駅間４００ｍもない３つの駅が並ぶのですが、これに沿って日比谷から東銀座駅まで地下道が掘られており、地上に出ないで日比谷から銀座、或いは銀座から東銀座まで歩けるようになっています。しかしこれがために、銀座と東銀座はつながっているにもかかわらず東銀座は銀座を名乗ることは永遠にできないのです。だってそうじゃありませんか。もし都営線東銀座駅が銀座に改名してしまったら日比谷線東銀座駅はどうしたらいいのですか！

　まさか銀座駅が二つ並ぶわけにもいかないでしょうに。かくして、 浅草線は乗り換えのために日比谷線に東銀座駅を作ってもらったがために銀座駅を名乗る夢を断たれてしまったのです。浅草線には皮肉なことです。